信州の旧家で「鶴」と名付けられた市松人形が、家族を一人ずつ呑み込んでいった話
製糸の家に奉公した語り手が見た、亡き娘の名を与えられた市松人形。夜ごと向きを変え、髪を失い、やがて家の者が消えていく。
製糸の家に奉公した語り手が見た、亡き娘の名を与えられた市松人形。夜ごと向きを変え、髪を失い、やがて家の者が消えていく。

押しつぶされた化石をCTスキャンで復元したら、肉食恐竜の最古グループ最後の生き残りが姿を現した。三畳紀末に何が起きたのか。
駅の地下深くにある遺失物取扱所。差出人不明の包みに入っていた真鍮の札は、毎朝名前が変わっていた。
巡回映写技師が有明海沿いの干拓集落で開いた野外上映会。癖で数えた観客の頭が、村の人数より三つ多かった。
県道拡張で掘り起こされた「負い石」。動かした夜から石灯籠に青い火が灯り始める、田舎の禁忌にまつわる実話怪談。
深夜番組のために廃鉱で一晩の無音を録音した。だが翌朝、テープには喋らなかったはずの自分の返事が入っていた。
昭和四十四年、信州の山村に赴任した保健婦が目にした「木守り」なき柿の木と、水を落としたはずの棚田に立つ人影の記録。
恩師の故郷へ測量に向かった技師が迷い込んだのは、言葉も文字も通じない「少しだけずれた土地」だった。薄青い注射、戻れぬ先客、そして帰還後に待っていた人。
霧の濃い晩、廃坑の奥に据えられた巨大な鉄の輪をくぐった先で、名前も顔も国籍も失った。十九年越しの異世界体験談。
雪深い越後の分校に赴任した教師が明け方に聞いた掃き音。名簿に増えた一人、数の合わない扉。子どもだけが知る「ハキサマ」の正体とは。
昭和末期、港の拡張工事で封じの石が動かされた。石工の男が語る、幼馴染一家を襲った因の連鎖。
養蚕集落の空き蔵で見つけた桐の箱。赤い組紐を解いた夜から始まった異変と、土地に伝わる「結い箱」の正体。
岬の御堂で封じ甕を開けようとした二人に起きた異変。裏返しの言葉、目の変容、書き換わる記憶。夢と現実の境が溶ける実話風怪談。
消えゆく山あいの集落で子守唄を集めていた学芸員が、霧の森で遭遇した体験。古老が語る「還された子」の意味とは。