古書に挟んだ紙片を抜いても翌朝には戻っている。鉛筆の数字だけが減っていく
買い取った蔵書から抜いた紙片が毎朝同じ頁に戻る。鉛筆書きの数字は抜くたびに減り、柱時計は四分遅れ、誰もいないはずの店に湯呑みが二つ。
買い取った蔵書から抜いた紙片が毎朝同じ頁に戻る。鉛筆書きの数字は抜くたびに減り、柱時計は四分遅れ、誰もいないはずの店に湯呑みが二つ。
製糸の家に奉公した語り手が見た、亡き娘の名を与えられた市松人形。夜ごと向きを変え、髪を失い、やがて家の者が消えていく。
駅の地下深くにある遺失物取扱所。差出人不明の包みに入っていた真鍮の札は、毎朝名前が変わっていた。
県道拡張で掘り起こされた「負い石」。動かした夜から石灯籠に青い火が灯り始める、田舎の禁忌にまつわる実話怪談。
昭和末期、港の拡張工事で封じの石が動かされた。石工の男が語る、幼馴染一家を襲った因の連鎖。
養蚕集落の空き蔵で見つけた桐の箱。赤い組紐を解いた夜から始まった異変と、土地に伝わる「結い箱」の正体。
岬の御堂で封じ甕を開けようとした二人に起きた異変。裏返しの言葉、目の変容、書き換わる記憶。夢と現実の境が溶ける実話風怪談。
誰も書いていないはずの原稿が一枚ずつ増えていく。しかもその筆跡は自分のもので、内容はまだ来ていない翌日の出来事だった。
文化財調査で訪れた網元の旧家。裏庭に建つ離れには窓があるのに入口がない。封じられた鏡台と「隠し名」の仕来りとは。
故人の蒐集部屋で剥製を数えるたび、台帳より常に一体多い。その余分な標本には種名ではなく人の名と日付だけが記されていた。
昭和の港町、寮の湯小屋で禁忌を犯した男に憑いた"それ"。偽の拝み屋、老師の警告、そして語り手が隠していたもうひとつの嘘。
旧校舎の標本室に残された台帳にも載らない瓶。その底に沈む白い影は、夜ごとに硝子の内側へ近づいてきた。
亡き学者の蔵書から見つかった書名なき古書。夜ごと読むうち余白の傍注が増え、やがてその筆跡は自分自身のものに変わっていった。
白髪の老人が置いていった一冊の和綴じ本。三十年後、表紙裏に記されていたのは「その日の日付」と店主の名前だった。
北国の表具師が亡き師匠の蔵で見つけた黒漆の函。その結び目は、決して数えてはならなかった。
亡き旧友の遺品から出てきた卒業アルバム。そこに写る自分の場所には、見知らぬ少女が立っていた。
解体予定の納屋の奥から見つかった異形の木像。それを開封した家族が次々と体調を崩し始める。2009年オカ板に投下された戦慄のスレを再構成。
2009年のオカ板に投下された伝説的スレ「禁后」。旅館の奥座敷に封じられた"それ"を巡る投稿を再構成した。
2ch オカルト板に投下された伝説級スレ「ケコーン式」。友人宅に伝わる呪術の箱を巡り、投稿者たちが体験した一夜の全記録を再構成する。

2005年、オカルト板に投下された一つのスレが伝説になった。島根の山村に伝わる呪具「コトリバコ」。あの夜、何が起きたのか。

友達の姉が生前書き続けていた赤い表紙のノート。中を開いた瞬間から、俺たちの周りで起き始めた異変を書く。
元自衛官の先輩Tさんが、旧海軍航空隊跡地の資料館で判読不能の古い手紙に触れた瞬間、自分のものではない悲しみに飲み込まれた。
神保町の路地裏にある時計修理店。修行中の男が大正十四年製の懐中時計の蓋を開けると、そこには自分の名前と生年月日が刻まれていた。
一人暮らしの祖母が川原で拾い、仏壇の脇に置いていた小さな仏像。帰省した夜に体験した、説明のつかない気配と音の記録。
1918年、無医村を襲ったパンデミック。村人が最後にすがったのは、人間より先にそこにいた「山姥さん」だった。祠の鏡が放った光の正体とは。
地方の全寮制高校に据えられた一台のアップライトピアノ。先輩から「弾くな」とだけ告げられた友人Tが、ある秋の深夜に鍵盤へ指を置いた。その直後、廊下の暗がりに立っていたものとは。